近年の戦隊ヒーローについて。
ゴーオンジャーが、結局はギャグ路線に入りながらも、カーレンジャーのような、最初から最後までぶっ飛んだ世界観による笑いを得られずにいることに失望したので、自分の意見を書いた。
興味のない人も相当いると思うので、追記に回す。
戦隊物は、基本的に「ドラマ」と、「エンターテイメント」の二つ要素にわけられる。
メンバー、及びそれを取り巻く人による「ドラマ」。
特撮としてのアクションや、空想上のSFとしての「エンターテイメント」。
ところが、最近の作品には、ドラマ面での成功を収めたり、「ヒーロー」とは何か、「善悪の対立」とは何か、ということに正面から向き合った作品がないような気がする。
特に、ドラマの質の低下は危惧すべき問題だろう。
最近は、「うーん」と考えさせられたり、感情引入させられるような話がほとんどない気がする。
特撮関係の雑誌の記事を読んでも「20話から24話までには、ついに新しい武装が登場!」などとしかかかれず、ドラマについてはほとんど触れられていない。
この事態を招いている第一の問題点として、戦隊のメンバーと民間人との間に距離が広がっていることがあると思う。
戦隊ヒーローが「完全な専門職」と化し、プロフェッショナルとして、一般人らしい側面が描かれなくなった。
(例をあげればきりがないが、ボウケンジャー、ゲキレンジャー、ゴーオンジャー)
戦隊のメンバーが持つはずの、我々と同じ「市民」としての独自の人間関係が存在していない。(友人など)
たとえば、ゲキレンジャーは、基本的に「ゲキレンジャーの五人、マスター、美希、なつめ、理央、メレ、残りの悪役」しか、登場人物が存在しなかった。
その中でドラマを作る場合、ドラマのパターンは狭まってしまうのは必然的なことである。
なので、各キャラクターの内面や素性について深く掘り下げたドラマを作るべきだった。
しかし、最近の戦隊は、キャラクター設定が薄い。
性格について、ワンパラグラフで言い表すことができる時点で、単純すぎる。
または、あまりにもリアリティーがなく、細部まで作りこまれていないキャラクターの場合もあった。
ドラマに影響を与えるような伏線も張られず、その場その場でご都合主義のように設定が乱発されたので、キャラクターを希薄になってしまった。
結果として、ゲキレンジャーでは、各メンバーの内面に深く踏み込んだドラマも作られなかった。
そうなると、「悪と善の対立、または戦隊自体の中での単純ないざこざ」、ぐらいのドラマしか描くことができず、薄っぺらいドラマを、ギャグの間にはさむという、中途半端なものになってしまったのだと思う。
ドラマ面でのもう一つの問題は、俳優の選択基準が容姿になったことだと思う。
最近の戦隊は、若手俳優の登竜門となってしまい、変身前にアクションができる人が少なくなった。
というか、皆無に近い。
結果として、自分の体を動かさず、変身前の日常の、会話のみを演じるので、自分が「命がけで戦う戦士」である自覚が生まれない。
例えば、ゲキブルーの変身前のレツが「うれしいんです、強くなっていることが」という台詞を言うシーンがあったが、彼自身が強くなっているようには見えず、台詞自体が空虚になってしまっていた。
このように、戦士としての自覚のなさは、演技に反映される。
生身で必死で動いた経験がなければ、「戦う人」の演技自体をできるわけがない。
結果として、最近の戦隊では変身前の人と変身後の人が完全に分離してしまっている。
こうした変化が、戦隊物のドラマを廃れさせている一つの要因だろう。
逆に、ドラマよりも、エンターテイメント重視の戦隊も(むしろ、こっちばかりになってきていることが問題だと思うが)マンネリ化してきている。
こちらの問題点として、最近の戦隊は、物まねや、怪人のおかしさなど「ギャグ」によるエンターテイメント性が強くなり、逆に「殺陣」「その戦隊特有の世界観」「ストーリー展開」で手に汗を握らせるような作風が少なくなってきていることがあげられる。
純粋に長期番組の弱点であるネタ切れが再発しているのかもしれないが。
懐古厨と批判されることを覚悟で書くが、平成初期の戦隊、ジュウレンジャー、ダイレンジャー、カクレンジャーといった戦隊は、見ているだけでテンポがいい展開、及びその設定を活かしきった話が、魅力だった。
逆に、最近の戦隊は、「ぞうきんがけが修行」「怪人がお笑い芸人ネタをやる」などで笑わせるだけで、見ていて「よくできている」と感動するような回が少なくなってきている。
これに加え、深刻なのは商品戦略によって、「工夫された戦闘や、話の消滅」だと思う。
例えば、ガオレンジャー以降、巨大ロボ戦時に、毎回新しい武装を登場させるようになった。
これは、商品戦略としては、莫大な利益がでるので、もうけものなのかもしれない。
が、武装を登場させるためには、一度、主力ロボがピンチにならなければならない。
あまり切羽詰っていないピンチが隔週程度の頻度で乱発されるようになってしまったということだ。
結果として、ピンチが「本当に命の危険」があるようには見えず、リアリティが失われてしまった。
既にあるロボットの能力で工夫せず、ご都合主義で新しい装備が登場。
これでは、売りの一つであるロボ戦が、単なる玩具の宣伝と化してしまっている。
これは、ロボに限らず、ゲキレンジャーの装備、「ゲキセイバー」などに顕著に見られる。
なんと初登場の2話の直後の回でゲキセイバーは敗北。
その次の次の回で、新装備がさらに登場する、などもはや商品戦略を隠さず、全面に押し出しているのがはっきりとしている。
戦隊物は、ドラマ自体が存在していないも同然になり、エンターテイメントとしても中途半端なものになってきて、もはや子供に玩具を押し付けるための道具と化している。
「マンネリ化」「予算の問題」が常に付きまとうジャンルの作品としては、ゴーオンジャーの次の作品が勝負どころだと思う。
真剣なドラマを展開するか、本当の意味でエンターテイメント性を追求した作品にするか。
でも、結局、高年齢層を狙った作品は子供には受けないんだよね・・。

